『アマゾンの呪術師』電子書籍での復刊によせて〜その2:元シャーマン画家パブロ・アマリンゴが語る呪術世界から 

絶版になっていた『アマゾンの呪術師』が電子本で復刊。
 『アマゾンの呪術師』地湧社
  パブロ・アマリンゴ/語り 永武ひかる/構成・訳 
ペルーアマゾンの元シャーマンの画家パブロ・アマリンゴが語る、神秘に満ちた植物と精霊と呪術師の世界、そして、脳と心とは、人生とは… 数奇な体験から語られるメッセージ  *シャーマンの世界を描いた絵画作品数点掲載

パブロ・アマリンゴが語った録音を起こして、翻訳、構成したのがこの本だった。出版されたのは1998年。それからおおよそ四半世紀。パブロは2009年に逝ってしまったが、絶版になっていた本が電子本でよみがえった…

 パブロと出会った日々を思い返すと、絵のインパクトもさることながら、作品についての話にも引き込まれた。どういう絵なのかをたずねると、絵の部分、ひとつ一つに物語るものがあった。その部分にフォーカスすると、それが生き生きと動き出すかのように。

 現実とそぐわないようなくだりがあっても、すべてが当人の経験として語られたから、子どもがおとぎ話に夢中になるように聞き入った。素朴な語り口も、話のおもしろさを際立たせた。精霊たちの美しい世界、聖なるものたちだけがいる世界のこと。この世とはまったくちがう光や色… そのシーンを思い出すかのように、声はやわらかに、パブロ本人もうっとりと話す。その一方で、呪術師たちのおぞましい戦いの場面になると、声の調子も恐ろしげに、まるで実践中継のごとくだった。手ごわい呪術師が仕かけてくると、果てはやるかやられるか… 本当に恐ろしかった、と本人も身をすくめて話した

 呪術師たちにとって一つの要だったのが、イカロと呼ばれる精霊の歌だった。出会った呪術師たちは、それぞれに、たくさんの歌を修得していた。ヘビに噛まれたときの歌、治療に力を貸してくれる精霊を呼ぶ歌…

目次

 呪術師をやめたパブロは、イカロは歌わないと言った。精霊を呼んで怒らせてしまうから。それでも、どういう風向きなのか、たまに披露してくれることがあった。歌のようで歌ともいえず、祈りのようで祈りとはちがう、声がふるえるような音色… そんなときは、また違う顔になっていた。

 「呪術師はまじないの技術も学んでおかなければならない」パブロは言った。病気を治療するまっとうな治療師になる技術を学び、修行をして力をつける。けれども、同時に、わざわいを仕かける技術も知らなければならない、と。死闘を挑んでくる輩から自身や患者を守るために。力も技術も使う人間次第。兵器を作り、戦争は止まない。その現代社会とも、通じるものがあるようかもしれない。

 その一方で、思い出すのは、ある呪術師が言っていた言葉だ。「自然は魔力、わたしたちはその力を使っている」と…   … 次回につづく

*パブロ・アマリンゴの概略については こちら  

*追記:
『アマゾンの呪術師』電子書籍での復刊によせて 
 〜その1:パブロ・アマリンゴとの出会い
 〜その3:パブロ・アマリンゴの語りから
 〜その4:パブロ・アマリンゴの人生から
 〜その5:元シャーマンの画家パブロ・アマリンゴ、教育者としての顔

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